3日ぶりに、のぶさんの家に帰ってきた。

たった3日だったけど、俺にはとても長かった。

特に、2日は雨で、どこにも行けなかったんだから

余計に辛かった。





「ただいま。」


みゃあみゃあと子供達が、寄ってくる。

よちよち歩くしかできないくせに・・・・。

可愛さと、いとおしさで胸が熱くなる。

二匹を抱え上げて、顔を覗き込む。


会いたかったよ。


「ハルも小鉄も元気だった?」


抱え上げても、じっとしてない元気いっぱいな二匹。


「そんなに暴れないの。」

「ふたりとも、おめえがいなくて寂しかったんだよ。」


歳さんが、部屋の隅あるクッションに座っていた。

すっと立ち上がって、俺の方へ歩いてくる。


「おかえり。」

「歳さん・・・・。」


ああ、会いたかった。


白い雪のような綺麗な猫。

大好きな、俺の歳さん。

子供を抱っこしたまま、歳さんに近寄って行く。


「近藤さん、元気だったか?」


歳さんの問いかけに答えず

まるで歳さんの目に引き寄せられるように

目の前まで近寄る。


「総司・・・・?」


見上げる、ガラスのような目。

なんて綺麗なんだろう・・・・。




俺は総司に見つめられて、生きた心地がしない。

何だ?

何で見てるんだ?

まさか、気付いたか?


――――――――大丈夫だ!

だって、子供は3回も風呂に入れたし、俺だって4回入った。

匂いなんて、もう消えている。

つか、ホントにハチとは何でもねえし!

そりゃ、総司とこうなる前は・・・色々あったけど。

色々って言うほど、あった訳でもねえけど。

ああもう、何言ってんだ。

とにかく!

今は違うし。


やましい事はねえんだ!

堂々としてりゃいいんだ!






何故か、固まってる歳さんをいいことに

そのまま近づいて、唇を合わせた。

薄紅色の唇に、そっと触れるだけ。


歳さんは、目を真ん丸にして、ぽかんとしている。

何をされたかわからなかったようだ。


「・・・ば・・・・馬鹿!!いきなり何すんだ!!」


我に返った歳さんが、真っ赤になっている。

可愛い。


「餓鬼が見てるだろ!馬鹿!」

「うん、ごめんね。でも、したかったんだ。」

「した・・・って、馬鹿!」

「そんなに馬鹿馬鹿言わないでよ。」


会えない時、ずっと子供達と・・・・・歳さんの事を考えてた。

ずっと、ずっと触れたくて仕方なかったんだ。


歳さんはぷりぷり怒って、さっきまでいたクッションの上に

背を向けて、座り込んだ。



やっぱり、怒らせちゃったか・・・・。


子供達が、早く構ってほしいと暴れ出す。

まずは、こっちからだ。

会えなかった時間の分も、子供達を構い倒した。