その日以来。

総司とは、会えば抱き合うようになっていた。

総司に触れられるのは、嫌いじゃない。

頭がとろとろに蕩けて、本能のまま抱き合う。

のぶ姉や、近藤さんに隠れて

まるで、会えない時間を埋めるかのように。






いつしか。

イライラする時期もなくなっていた。

だけど、今度は、やたら腹が空く。

でも、少し食ったら、また満腹になって。

しばらくしたら腹が空く。

その繰り返し。

で、やたら眠い。

起きていようと思うけど、強烈に眠くて。

総司が来ていても、睡魔に逆らえない。

でも、どこか痛いとか、具合悪いとかはない。

むしろ、調子は良い方だ。

ただ、腹がむずむずしやがる。

もしかして、虫でもいるのか?









歳さんは、良く眠る。

昔から、よく眠るひとだったけれど

今は、気が付けば寝ている有様だ。

俺と話をしていても、とろんとした目で。

うつらうつらと浅い眠りを繰り返す。

どこか悪いのかと思ったが

食欲はあるようだ。


つか、ありすぎる。

すぐにお腹が空くようで、ちょっと食べて

少し時間が経つと、ぐうぐうお腹を鳴らす。

で、また少し食べる。


よく食べて眠るせいか。

つやつやと毛並みはいいし

何だか、すごく綺麗になった。

以前よりも、艶があって・・・・・何とも言えない色気がある。

痩せすぎだった身体も、すこし豊かになって

丁度いい感じだ。


こんな姿、他の雄猫には見せられない。

けして外に出ないように、言い含めると


「どこへも行く気しねえよ。」


と。

だるそうに答えた。

確かに、あんな頻繁に眠気が襲うんじゃ

何処へも行けないか。











近頃の俺は、睡眠と食欲に振り回されている。

総司とゆっくり睦み合う時間もなく。


ああ、総司と抱き合いてえな、なんて考えていると

突然、腹部に強烈な痛みが走った。



「痛え。」


腹が痛い。

痛い。痛い。痛い。すげえ痛い。

何だこれ。何だこれ。

とても立っていられない。

あまりの痛みに脂汗が浮く。


「歳?」


のぶ姉も、俺の異常に気付いたらしい。

慌てて駆け寄ってくる。

こんな痛みは初めてだ。

なんだろう。


もしかして・・・・・。


俺、死ぬのか?


いやだ。


総司。


総司。



助けて。