夢中で歳さんの体をまさぐる。
唇を貪りながら、体のすみずみまで触れた。
そのたび、歳さんが切ない声を上げる。
「・・・あ、あ・・んっ・・・そ、うじ・・・」
しがみつく手が愛しい。
こんなにも、大好きだ。
歳さんの匂いに包まれて、俺は幸せだった。
俺には、やっぱり歳さんしかいない・・・。
いとおしくて、どうしようもなくて、歳さんを抱き締めた。
歳さんも、俺が欲しいの?
いない間、寂しいと思ってくれたの?
俺も、ずっと寂しかったよ。
総司の体が熱い。
きっと、俺もそうなんだろう。
恥かしかったけれど、俺は、こいつが好きなんだ。
どこへも行って欲しくない。
ちゃんと、伝わったかな。
おめえが俺を好きなのは、子供の頃から一緒にいる思い込みじゃねえかと疑ってた。
だけど、今は、そんなことはどうでもいいんだ。
俺が、おめえを好きだから・・・・だから、それでもいいんだ。
いつか、きっと、本当に好きになってくれるかもしれないから。
俺は臆病だから、そうすることしかできねえ。
今、おめえが俺を好きだと言ってくれる。
それでいい。
総司の熱に翻弄されながら、しがみ付いた。
ばちん!
派手に頬が鳴って、一瞬何が起こったか、わからなかった。
頬がじんじん熱くなって、俺は歳さんに、ぶたれたんだとわかった。
驚いて見ると、歳さんは、涙をいっぱい溜めて俺を睨みつけている。
何で?
何かした?
混乱する頭で、そう聞こうとしたら・・・・。
「馬鹿にすんな!」
「・・・・え?」
「他の女んとこ、行って・・・何にもなかったような顔しやがって!」
他の女?
「何のこと?」
「しらばっくれんな!」
歳さんの目は、俺の肩に向けられている。
何だ?
自分の肩を見てみると・・・・・そこには、くっきりと小さな歯型がついてる。
何だこれ?
何でこんなものが・・・。
あ。
たま・・・・だ。
たまがいつのまにか付けたんだ。
逃げたはずなのに。
何で、こんなもの・・・・。
「やっぱり、心当たりあるんだな・・・・」
歳さんが、目を吊り上げて・・・・・めちゃくちゃ怒っている。
「ちが・・・」
「違わねえ!」
「待って、歳さん。俺の話を聞いて・・・」
「うるせえ!」
伸ばした俺の手を振り払う。
そのまま、歳さんは出て行ってしまうんじゃないかと思ったけれど
歳さんは、拳で、俺を打ってきた。
「ばか!ばか!・・・・おめえ、嘘吐きだ!!」
ぼろぼろ涙を零しながら、歳さんは俺を打つ。
子供みたいに、泣きじゃくりながら。
こんな歳さん、初めて見た・・・・・。
ちょっとあっけにとられたけれど、それどころじゃない。
どうにかしないと・・・完全に誤解されている。
「この、大嘘吐き・・・・俺を好きだって、言ったくせに・・・!」
「す、好きだよ!・・・いて、痛いよ、ちょ・・・っと待って!」
バシバシとめちゃくちゃに叩かれて、痛かったけれど
俺を叩く段々力が弱くなって、そのたび嗚咽が漏れる。
そんなふうに泣いてる歳さんに、胸が締め付けられた。
「話を聞いてよ・・・。ねえ、誤解だよ・・・」
両手を掴んで、暴れる体を無理矢理抱き締めた。
ちっとも大人しくなってくれなかったけど、それでもぎゅうぎゅうと抱き締めて抑え付けた。
「確かに、近藤さんの実家に猫がいたけど・・・俺は何もしてないよ。」
何だったら、近藤さんに確かめてもいい。
歳さんがいるから、ずっと断り続けてきた。
本当だよ。
必死で歳さんに言い募る。
「・・う、うう・・・」
いつしか、俺を叩く手は、俺の背中にしがみ付いていた。
泣いてる歳さんが、何だかとてもいとおしくて。
「好きだよ、歳さん。大好きだ。・・・・俺を、信じて。」
歳さんの体は、俺の腕の中にすっぽり収まる。
こんなに細くて、小さい。
それは、俺が大きくなったせいだけど。
ずっと俺は、こんなふうに大きくなって、貴方を守りたいと思ってた。
ちょっとワガママで、臆病な貴方。
俺が浮気したと思って、ヤキモチ妬いてくれたんだ・・・・。
俺を、こんなに好きになってくれたんだね。
歳さんを泣かせてしまったのに、俺は嬉しかった。
酷いかな。
「俺には歳さんしか、いないよ・・・」
宥めるように、するすると綺麗な毛並みを撫でた。
「・・・うわきもの・・・・おめえなんか、死んじまえ。」
「酷いなぁ。」
ホントに口が悪いよね。
俺は死なないよ。
だって、歳さんや子供がいるし。
それに、俺がいなくなったら、歳さんは別の男のとこへ行ってしまう。
そんなの、許せない。
「ねえ、信じてくれる?」
「・・・・信じられねえ。」
「どうしたら、信じてくれる?」
「・・・・てめえで考えろ。」
「そうだな・・・まず、近藤さんに身の潔白を証明してもらって・・・。」
「ふん。」
「あとは・・・」
するりと、歳さんの尻尾を撫でた。
「・・・・!な、何しやがる。」
「あとは、体で証明するよ。」
「何だそりゃ・・・誤魔化されねえぞ!」
「誤魔化すつもりなんか無いよ。」
「このまま、うやむやにしようって事だろ。」
「違うよ。だって、俺はずっと何もしてないから・・・・すごく、したい。」
「そ、そんなの・・・」
歳さんの顔が真っ赤になった。
それは、泣き腫らしたせいだけじゃなく。
すごく、可愛い。
「だめ?」
「か・・・勝手にすればいいだろ・・・」
「うん。ちゃんと証明してみせるから。」
「いい、それは、もう・・・。」
「良くないよ。泣かせちゃったし、ちゃんと誤解を解きたいんだ。」
歳さんの、綺麗な紅い唇に口付ける。
ちょっとしょっぱい涙の味がする。
泣かせてしまったお詫びに、優しく、丁寧に、歳さんに触れる。
綺麗な、俺の奥さん。
浮気なんかできる訳ないよ。
頬に残る、涙を舌で拭った。
くすぐったそうに、身を竦めるけれど
そのまま俺は、首筋に舌を這わせて、感じるところを探した。
あんなに暴れてた歳さんは、大人しくて。
もしかして、さっきので疲れちゃったかな、と思ったけど
俺は、どうしても歳さんが欲しかった。
だって、こんなに嬉しい。
歳さんを、愛したい。
胸の可愛い突起を口に含む。
軽く吸い上げると、乳首がぷつんと立ち上がる。
弾力を楽しむように、舌で押しつぶすように、舐める。
「ん・・あ、ふ・・・・」
鼻から抜ける甘い声。
歳さんの鳴き声は、色っぽくて、ドキドキする。
足を開かせて、身体を割り込ませ、より密着させた。
涙で張り付いた髪を指で拭ってやり、顔を覗き込んだ。
「いい・・・?」
歳さんの中に入っても。
歳さんと、ひとつになっても。
「ばか・・・聞くな・・・」
歳さんは、顔を赤くして、腕で顔を隠してしまった。
その腕を両手で絡め取って、耳元で囁いた。
「見せて・・・歳さんの感じるとこ・・・」
「な・・・ばか、やだ・・・」
腕を振り切ろうともがくけれど、離さない。
歳さんが、俺を欲しがるところが見たいんだ。
「・・・あっ・・!」
ゆっくりと歳さんの中に入っていく。
「あ・・・あ、あ、・・・ん・・・・!」
中は、あったかくて、狭くて、ぬるぬるしてて、気持ちがいい。
全部納めてしまい、しばらく動かずに中の感触を味わう。
柔らかな肉に、ぎゅうぎゅう締め付けられて、背筋を快感が昇っていく。
歳さんも悦んでるんだよね?
「すごく・・・・気持ちいいよ・・・すごい。」
「ば・・・か・・・ぃ・・う、な・・・・」
「だって、本当だから。」
大好きな歳さん。
涙を唇で拭って、瞼に口付ける。
青と緑の綺麗な目。
「そうじ・・・・」
「何・・・?」
「・・・・すき・・・・・」
顔を赤くして、歳さんが、しがみ付いてくる。
胸の奥があったかい。
嬉しくて、嬉しくて・・・嬉しいのに、何故か泣きたいような気分になった。
「俺も、大好き・・・・」
こんなに満ち足りた気分は、初めてかもしれない。
歳さんが、俺を求めてくれている。
それだけで、胸がいっぱいになった。